スタンレーホークの事件簿


スタンレー・ホーク【人名】巡査部長刑事  32歳

白人、黒みがかった金髪と緑色の眼。
バージルシティ警察で有名な不良刑事。ただし動物的な勘が働く。結婚3ヶ月で破綻したバツ1。女とセックスが好きなはずが、いつの間にか男のロスフィールドと肉体関係が出来てしまった。よって自分の人生を複雑にされたことを恨んでいる。年中罰金を払っているので貧乏。父親は公務員、母親は教師で、ちゃんとした家庭でしつけられたはずなのに、不良刑事になってしまった。労働者階級出身。

(本文より
 スタンレー・ホークの、男らしく形の良い顎には、夕方になってうっすらとひげが生えていた。まだ若い頃、自分のハンサムな容姿に自信を持っていたスタンレーは、いささかひげが濃いことを気にして、夕方のデートの前には必ずカミソリを当てていたが、20代の終わりに離婚してからは、そんな努力はとうにやめていた。
 よく陽に灼けた肌と、自己管理できていないにもかかわらず、無駄な贅肉のない肉体は、必要な時に、必要なだけの力を発揮する武器でもあった。)

アリスター・ロスフィールド【人名】警視  30歳

本名アリスティア・マクレラン。
財閥マクレラン一族の一人。同時に多くの犯罪者を出しているマクレラン一族の一人。その原因は、憑依体質のため。つまり、自分以外の感情や思念によって支配されることがある。前世の記憶がある。ジン・ミサオと、スタンレーの2人と肉体関係があり、一見不感症のようだが、いくときは凄い…。先祖は、虐殺が大好きだった王侯貴族にまで遡れる由緒ある名門犯罪者家系出身。弱点は、味覚音痴。

(本文より
 この声が曲者なのだと、判っていた。この声に、魅せられる者もいる。不思議なことに、男でも、女でもだ。 多分、ロスフィールド一族が、何代にも渡って美男美女ばかりを交配させた結果、良いところばかりを受け継いで完成したのがアリスター・ロスフィールドなのだ。
 アリスター・ロスフィールドの青い虹彩の回りには金色の輪があって、それが彼の美貌をいっそう現実離れさせている。
 髪の色は金髪で、ゆるいウエーブがかかった前髪を後ろへと撫でつけ、いかに自分の額の形が完璧かを見せつけている。
 青白い肌の色、整っていて男にしておくには勿体ないくらいだが、女とも違う、どちらの基準から見ても美しい貌と、冬の寒空のような青い瞳。
 拳銃を握らないのだろう、繊細な形の指には、透明なマニキュア)

ジン・ミサオ 【人名】  29歳。日本人の精神科医。

アリスティアを愛していて、彼のために生きている。植物的で、常に冷静、またその声には鎮静作用があり、東洋的な神秘的微笑(オリエンタルスマイル=仏像の口元)を浮かべている。言っていることはもっともで、一見クールだが、実はとんでもないヤキモチ焼きで、ロスフイールドへの愛のあまり、見境なくとんでもないことを、マジでする。(例、スタンレーを去勢しようとしたこともある)
 お料理上手の、日本陰陽詩師家系。

(本文より
 スタンドカラーのシャツに、黒のスーツ、黒いベストを、鮮やかに着こなした、ジン・ミサオの姿を見た。
 ジンは、二十九歳になる市警察専属の精神科医で、とても日本人とは思われないほど、すらりと背が高く、美しい貌だちの男だった。
 彼の若さと知的さは、長めの髪を、秀でた額の中央から左右に分けたヘアスタイルにも顕われていて、独特の雰囲気が醸し出されていた。
 いま、そのジン・ミサオの眸は、まっすぐに、窓際にいるスタンレーを凝視しており、視線の先に気づいた刑事たちが、すうっ…と、身体を退いているのだ。
 よって、ジンは、なんの障害物もなく、スタンレーへと、優雅な足取りで近づいてくる。
「まるでモーゼの海渡りだな」
 自己主張が取り柄の殺人課刑事たちが、彼のために、道をあけているのを見て、バートが、口笛を吹きそうに口をつぼめた。
 もちろん、口笛は、音無しだった。不謹慎な行為をすれば、天罰が下るとでも思っているかのように…。
 いまでは、殺人課のだだっぴろい部屋にいるすべての警察官が、こちらを見ていた。
 それはまるで、男も女も、肉食獣だけしかいない森に、突然、美しい鳥が飛んできて、梢に止まったのを、一斉に見ているような熱心さだった。
 そして、鳴き声を聞こうとしているかのようだった。
 だが、ジンの声音からは、日頃の優しさと、それゆえにもたらされる慰めが、まったく消失していた。)

フランク・サイト【人名】  29歳。バージルシティ殺人課刑事。警部補。

ロスフイールドの代行を兼ねる秘書的存在。赤毛の童顔で、気配り上手で、多少の物事には動じない。影の策士で、三人の三角関係に気がついた最初の人物。男性女性ともに性的に興味がない。なぜか、読者の中にファンが多い、不思議な脇役。

バート・トウィリー【人名】  33歳。バージルシティ殺人課刑事。

アフリカン・アメリカン。コンビを組んで4年の、スタンレーの相棒。クロスワードパズルの出題のアルバイトをしている。ばれたらクビだろう。物知りで、スタンレーの良き理解者でもある。妻と3人の子持ち。

ジム・ウィルスキー【人名】  50代。バージルシティ殺人課刑事。警部補。

スタンレーの上司。スタンレーのせいで昇進を逃している可哀相な親父。ロスフイールドに心酔している。

ミランダ・ラコシ【人名】  27歳。地方巡業専門劇団所属の女優。

野性的で気品ある顔立ち、大輪の花のような美女。スタンレーのセックスフレンドで、気っぷのいい女性。殺人事件の被害者となる。

フィリップ・ラクロウ【人名】エステティックサロンチェーンの経営者。通称伯爵。

「通称」というのがミソで、「称号」ではないところに哀愁が漂う。フランス貴族の末裔を自称しているが信義のほどは不明。四十がらみ。銀髪まじりのブロンド。グレーの瞳。通った鼻筋。男らしい顎。社交クラブの会員。仕種は優雅。ボクサーの様な肉体。身体付きからは想像もできないほど繊細に蠢く指が商売繁盛の鍵。バイセクシャル。刺激的なことは、どんなことでも、一通り試さずにはいられない性癖の持ち主。
ルイス・クウェンティンとは十数年前に知り合い、エステティックサロンの開業資金を用立ててもらっている。互いの楽しみを満たすための犯罪を黙認しあう間柄。逮捕されたルイスへの友情(?)からスタンレーを罠にはめる。意外と義理堅いオヤジである。しかしロスフィールドに真相を見破られるとさっさと手を引く。友情なんてそんなもの。最後の詰めは甘いのだが、引き際はやたらと良い。大きな悪事には縁がないが小さな悪事はいーっぱいやっているであろう。引き際の良さは身を助く?

ジョナサン・スミス【人名】  バージルシティ警察捜査支援課勤務。警部。

四十代前半、……と思われていたが、実はまだギリギリ三十代。この事実はスタンレー・ホークを絶句させた。独身。一人暮らし。巨漢。甲高い声。小さいが鋭い双眸を持つ。偏執狂的神経のこまやかさ。謎に対しては執念深く、時間を無駄にしない。なんかけっこうアヤシイオヤジである(『妖しい』じゃないよ、『怪しい』だよ)。担当する仕事の多くはスタンレーの尻拭い。実は自ら進んでスタンレーの後始末にまわっている。
自分がフォローすることによってスタンレー独特のやり方を誰にも批判させないようにしている。犬型人間。スタンレーとは相性がいいはずであるが、スミスに肩を組まれると巨大なアルプス救助犬にバックをとられたような感覚になり、スタンレーにとっては極めて居心地が悪い。捜査支援課の前には、盗聴と写真を専門とする部署に配属されていた。秘密を持つ者にとっては油断ならないオヤジ。ただし、必要に応じて沈黙することができる。目下の沈黙項目は、アリスター・ロスフィールドの特殊能力及びロスフィールドとジン・ミサオとの関係について。沈黙してるとジン・ミサオの手料理にありつける。沈黙は金。ジンのカウンセリングは受けたことがない。意外と健全なオヤジ。

ルイス・クウェンティン【人名】  画家。38歳。

赤みがかった金髪。ただし染めている。整形マニアで、顔は元の造作が分からないほどにいじってある。人付き合いは良過ぎるほどよい。俗物。自己愛にのみ生きる男。浴室を鏡張りにしている。限りなく狂気に近い粘着気質。ついでに真似しんぼ。アリスター・ロスフィールドになりたがっている。ディナー・アンド・トップレスショーの後スタンレー・ホークが運転するロスフィールドの車を尾行する。ご苦労なヤツである。二八区の緑の森公園(エメラルド・フォレスト)近くのマンションに住んでいる。市の郊外一四〇区に隠れ家あり。人間のコレクションとスケッチが趣味。ロスフィールドの頭蓋骨がお気に入り。スケッチは実益も兼ねる。二年に一度個展を開いており、展示された絵はすべて買い手がつく。
ミランダ・ラコシ殺害事件の捜査に当たるロスフィールドを拉致、水、食料を与えず監禁し、裸体のスケッチを行う。ジン・ミサオも拉致監禁するが、こちらには殴る蹴る刺す(ルイス、嫉妬は醜いぞ)。さらにウォーカーにロスフィールドをレイプさせる。逃げようとしたウォーカーを射殺、ジンの右肩を撃ち抜くが、駆けつけたスタンレー達に逮捕される。ロスフィールドに憑依した父親及び今までの犠牲者の思念に襲われ正気を失う。収監先の留置所で殴られ鼻を骨折、顔面が崩壊する。グリンジャーの引退を延期させた張本人。

制作  明神鼎


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