『花夜叉』


花夜叉

挿絵 水上有理
角川書店
新書版ハードカバー
ISBN4−04−873044−4
本体価格  1400円

闇のむこうに潜むのは永遠の愛か、それとも無限の宿命か
能の名門藤代流の若き後継者篠芙。
高貴な冷たさを漂わせる舞の裡に隠されているのは…。
「花鎮の饗」「散花」書き下ろしの「花夜叉」を収録
官能の世界を描いた至極の愛の物語。

あらすじ:
観月流の後継者と定められた篠芙は、奪われるように観月へ連れ去られ、政略的な結婚を強要される。腹違いの弟、明煌は藤代流を継いだが、篠芙の母夏江との確執は消えない。そんなある日、明煌は観月宗家となった基世から春の奉納能に羽衣を舞うよう指示される。羽衣は篠芙の得手でもある。しばらくは篠芙に稽古を付けてもらえと言われ、明煌は動揺する。
それというのも、欲望に負け、自分を支配していた兄の篠芙を犯してしまった明煌は、いまだに赦されていなかったのだ。
さらに明煌に追い打ちをかけるように、篠芙の世話役でもある観月の真木博人が、弟子に犯された肉体を宗家に苛まれ、さらにはゼリー状態の粘液を浣腸されて弄ばれる篠芙を明煌に見せ、欲情をかりたたせる。
弟子の三ノ宮と、彼の祖父がからみ篠芙を追いつめていく中で、妻となった多華子は孤独の悲しみに、次第に心に鬼が巣くい始める。
篠芙の子を身ごもるために帰国した美土里。
性の饗宴の一人に選ばれる明煌。
男と女の心のなかに、夜叉が生まれた時──

関連情報:
『花夜叉』はCDドラマ化されています。  【→CDのご案内】
篠芙=塩沢兼人  明煌=林延年

作者コメント:
花夜叉はCDドラマにもなった『花鎮の饗』を収録した一冊です。山藍はこの小説を書いている間中、幸せでした。なぜなんだろう?と思えるほど愉しかったのです。もしかして、篠芙は、今現在、山藍が自分自身でもっとも耽美だと感じているキャラクターだからかもしれないです。
さて、読んでくださった方からは、篠芙が可哀相というご感想や、あまりに悲惨といわれたりもしますが、私は悲劇とは思っていないですし、運命の過酷さを補ってあまりある快楽を得ている篠芙と思っています。
今年は、番外編として続編を書く予定です。